復習問題 2026-09-26
4問です。昨日の4問のすぐ隣から選びました。分野はネットワーク2問・情報セキュリティ1問・システム監査1問。
第1問 ネットワーク(ルーティングテーブルと最長一致)
ルータが、宛先IPアドレスが 192.168.10.130 のパケットを受信した。このルータのルーティングテーブルが次のとおりであるとき、パケットの転送先として選択される経路はどれか。
| 宛先ネットワーク | 次ホップ |
|---|---|
0.0.0.0/0 | R1 |
192.168.10.0/24 | R2 |
192.168.10.128/25 | R3 |
192.168.10.128/26 | R4 |
0.0.0.0/0の経路を選び、R1 へ転送する。192.168.10.0/24の経路を選び、R2 へ転送する。192.168.10.128/25の経路を選び、R3 へ転送する。192.168.10.128/26の経路を選び、R4 へ転送する。
解答
d(192.168.10.128/26 を選び、R4 へ転送する)
昨日の第1問は「自分のサブネットの外だったので、デフォルトゲートウェイへ預ける」で終わりました。今日はその預けられた側の話です。ゲートウェイ(ルータ)はフレームを受け取ったあと、何を見て次をどこへ送るかを決めるのか。ここが昨日の続きです。
ルータは宛先IPアドレスを、ルーティングテーブルの各行の宛先ネットワークと突き合わせます。まずどの行に当てはまるかを全部調べます。第4オクテットだけ見れば足ります。
| 行 | 範囲(第4オクテット) | 130 は入るか |
|---|---|---|
0.0.0.0/0 | すべてのアドレス | 入る |
192.168.10.0/24 | 0 〜 255 | 入る |
192.168.10.128/25 | 128 〜 255 | 入る |
192.168.10.128/26 | 128 〜 191 | 入る |
4行とも当てはまってしまいました。複数当てはまったときにどれを選ぶかの規則が最長一致(ロンゲストマッチ)です。プレフィックス長(/ の後ろの数字)がいちばん大きい行を選びます。ここでは /26 なので d です。
考え方はこうです。/ の後ろの数字が大きいほど、その経路が指している範囲は狭い。狭い範囲を指している行のほうが、その宛先について詳しく知っているとみなします。「地図で日本より東京都より新宿区のほうが詳しい」のと同じで、いちばん細かい情報を優先します。
この規則があるので、0.0.0.0/0(デフォルトルート)は安全に置けます。プレフィックス長が 0 で必ず最下位になるため、他のどの行にも当てはまらなかったときだけ選ばれます。「それ以外は全部こっち」という受け皿で、家庭やオフィスの端末が持つ「デフォルトゲートウェイ」はこの行にあたります。
a と b と c は、いずれも当てはまってはいますが、より長く一致する行が存在するので選ばれません。先に書いてある行が優先されるのでも、範囲が広い行が優先されるのでもなく、いちばん長く一致した行です。ここを「上から順に最初に一致した行」と覚えていると、行の並び順を変えた出題で落とします。
昨日からの流れを1本にすると、こうなります。送信元ホストは自分のマスクで同一サブネットかを判定し(昨日)、違えばデフォルトゲートウェイへ預ける。受け取ったルータは最長一致で次ホップを決め(今日)、そこへ中継する。これが宛先に届くまで繰り返されます。宛先IPアドレスは最後まで変わらず、宛先MACアドレスだけが一歩ごとに書き換わります。
第2問 ネットワーク(ブロードキャストドメインの分割)
レイヤ2スイッチだけで構成されていたLANに、ルータを1台追加して2つのセグメントに分割した。この変更による効果として適切なものはどれか。
- コリジョンドメインは分割されるが、ブロードキャストドメインは分割されない。
- ブロードキャストドメインが2つに分割され、一方のセグメントで送出されたブロードキャストフレームは他方へ転送されない。
- ブロードキャストドメインは1つのままだが、各スイッチのMACアドレステーブルが不要になる。
- ブロードキャストドメインもコリジョンドメインも分割されず、伝送距離が延びるだけである。
解答
b(ブロードキャストドメインが2つに分割される)
昨日の第2問でフラッディングをやりました。「宛先が分からないフレームは受信ポート以外の全ポートへ流す」という動作です。今日はその流れていく範囲はどこまでかという問いです。その範囲のことをブロードキャストドメインといいます。
レイヤ2スイッチは、フラッディングもブロードキャストフレーム(宛先MACが FF:FF:FF:FF:FF:FF)も素通しします。スイッチを何台つないでも、つながっている全体が1つのブロードキャストドメインのままです。台数を増やしても分かれません。
これを分割できるのがルータです。ルータは第3層の機器で、ブロードキャストフレームを他のセグメントへ転送しません。だから間にルータを入れると、そこでブロードキャストの届く範囲が切れます。これが b です。
2種類のドメインを、分割できる機器で並べると整理できます。
| 機器 | 層 | コリジョンドメイン | ブロードキャストドメイン |
|---|---|---|---|
| リピータ・ハブ | 第1層 | 分割しない | 分割しない |
| レイヤ2スイッチ・ブリッジ | 第2層 | ポートごとに分割する | 分割しない |
| ルータ・レイヤ3スイッチ | 第3層 | 分割する | 分割する |
効果としては、ブロードキャストが減って余計な通信と各端末の処理が軽くなること、そして障害やセキュリティの影響範囲がセグメント内に収まることです。なおVLAN を使えば、ルータを物理的に足さなくても1台のスイッチの中を論理的に複数のブロードキャストドメインに分けられます。ただし VLAN をまたいだ通信にはやはり第3層の中継(ルータまたはレイヤ3スイッチ)が要ります。この「VLAN間ルーティング」は午後 問5 でよく出る形です。
a は前半だけ正しく、後半が誤りです。コリジョンドメインを分割するのはスイッチの段階で既に済んでいます(ポートごとに分かれる)。ルータを足して新しく得られるのはブロードキャストドメインの分割のほうです。c は、スイッチが第2層で転送する以上 MAC アドレステーブルは必要なので誤りです。d は第1層のリピータの説明で、層が2つ下です。
第3問 情報セキュリティ(DKIM)
DKIM の説明として適切なものはどれか。
- 送信を許可したメールサーバのIPアドレスをDNSに登録しておき、受信側が送信元IPアドレスと照合して なりすまし を検出する。
- 送信側が電子メールにディジタル署名を付け、受信側がDNSから取得した公開鍵で署名を検証することで、送信ドメインの正当性と本文の非改ざんを確認する。
- 送信ドメイン認証に失敗したメールをどう扱うかの方針をDNSで公表し、受信側がその方針に従って隔離や拒否を行う。
- メール本文と添付ファイルを暗号化し、送信者と受信者以外には内容を読めないようにする。
解答
b(署名を付け、DNSの公開鍵で検証する)
昨日の第3問(DNSSEC)で、紛らわしい選択肢として SPF を置きました。今日はその周辺をまとめて片付けます。午後 問1 は必須なので、ここは語句どうしの役割分担を持っておくと強いところです。
DKIM は、送信側のメールサーバが送信時にメールへディジタル署名を付け、検証用の公開鍵をDNSに公開しておく仕組みです。受信側はDNSから公開鍵を取り、署名を検証します。検証が通れば、そのドメインが本当に送ったもので、途中で本文が書き換えられていないことが確認できます。
送信ドメイン認証の3つは、何で判断するかで分けると混ざりません。
| 仕組み | 何で判断するか | 改ざん検知 |
|---|---|---|
| SPF | 送信元メールサーバのIPアドレスがDNSの許可リストにあるか | できない |
| DKIM | メールに付いたディジタル署名が検証できるか | できる |
| DMARC | SPF・DKIM の結果と、失敗時の取扱い方針 | —(上2つの結果を使う) |
3つともDNSにレコードを置いて使う点が共通で、だから選択肢で並べられると迷います。SPF は「どこから来たか」、DKIM は「中身が本物か」、DMARC は「ダメだったらどうするか」と覚えてください。SPF は転送されると送信元IPが変わって失敗しやすい一方、DKIM の署名は転送されても残るので、両方を併用したうえで DMARC で方針を示すのが標準的な構成です。
a は SPF、c は DMARC の説明です。d は S/MIME や PGP の説明で、こちらは秘匿が目的です。DKIM は署名だけで本文を暗号化しないので、ここは昨日の DNSSEC とまったく同じ切り分けになります。署名は「本物か」を示すもので、「隠す」ものではありません。
第4問 システム監査(改善勧告とフォローアップ)
システム監査のフォローアップに関する記述のうち、適切なものはどれか。
- 監査人は、改善勧告に対する改善計画を自ら立案し、監査対象部門に代わって改善作業を実施する。
- 改善を実施する責任は監査対象部門にあり、監査人はその実施状況をモニタリングし、必要に応じて助言を行う。
- 監査報告書を提出した時点で監査人の役割は終了するため、その後の改善状況を確認してはならない。
- すべての改善が完了したことを確認してから、監査報告書を提出する。
解答
b(実施責任は監査対象部門、監査人はモニタリングと助言)
昨日の第4問の解説の最後に、監査の流れを予備調査 → 本調査 → 評価・結論 → 報告・フォローアップと並べました。今日はその最後の段です。
フォローアップとは、監査報告書で出した改善勧告が実際に実施されたかを確かめる活動です。ポイントは誰がやるかの線引きで、ここが問われます。改善を実施するのはあくまで監査対象部門で、監査人はその進み具合を確認し、必要なら助言します。監査人が自分で改善してしまうと、次に監査するとき自分の仕事を自分で評価することになり、独立性が失われます。これが一昨日の第4問(監査人の独立性)とまっすぐつながる理由です。
a はその独立性を壊す選択肢です。監査人が改善作業に踏み込むと、外形的にも精神的にも独立していない状態になります。助言はしてよいが、代わりに手を動かしてはいけない、という一線です。
c は逆で、勧告が実施されたかを確かめないと監査は意味を持ちません。報告して終わりではなく、改善されて初めて監査の目的(システムの信頼性・安全性・効率性の確保)が果たされます。
d は順序が逆です。改善の完了を待つと報告が遅れ、経営者への情報提供として手遅れになります。監査報告は結論が出た時点で速やかに行い、改善状況はそのあとフォローアップで追います。
これで 問11 の骨組みは通しで揃いました。独立性・職務分掌・最小権限・監査証跡・監査証拠・監査調書・改善勧告・フォローアップ。答案はこれらの語を使って書けば形になります。問11 はもう十分です。