復習問題 2026-09-27
今日も4問です。1問目と2問目は昨日のすぐ隣、3問目は昨日のメール認証の送信側の話です。4問目から午後 問8(情報システム開発)に入ります。監査(問11)は昨日で骨組みが揃ったので、ここで席を譲ります。
第1問 ネットワーク(ルーティングプロトコル)
ルーティングプロトコルに関する記述のうち、OSPF の説明として適切なものはどれか。
- 隣接するルータと経路表全体を定期的に交換し、宛先までのホップ数が最小となる経路を選択する。ホップ数の上限は 15 である。
- 自律システム内で、各リンクにコスト(帯域幅などに基づく重み)を設定し、ネットワーク全体の接続状態を共有して最小コストの経路を計算する。
- 自律システムの相互間で経路情報を交換し、組織のポリシに基づいて経路を選択する。
- 宛先 IP アドレスに対応する MAC アドレスを同一セグメント内に問い合わせ、その応答から宛先 MAC アドレスを得る。
解答
正解 b(リンクにコストを設定し、全体の接続状態から最小コスト経路を計算する)
昨日の第1問は、ルータができあがった経路表から最長一致で次ホップを選ぶところまででした。今日はその手前の話です。あの経路表は誰が書いたのか。手で書くのが静的ルーティング、ルータどうしが情報交換して自動で書くのが動的ルーティングで、そのときの話し方の取り決めがルーティングプロトコルです。
OSPF はリンク状態型(リンクステート型)です。各ルータが「自分にどのリンクがつながっていて、それぞれのコストはいくらか」を全体に広め、受け取った側はネットワーク全体の地図を組み立てて、そこから最小コストの経路を計算します(ダイクストラ法)。コストは帯域幅から決めるので、遅い回線を何本も通る経路より速い回線の経路が選ばれます。
a は RIP です。距離ベクトル型といって、隣とだけ話し、指標はホップ数(通過するルータの数)だけ。回線の速さを見ないので、遅い1本の経路を速い2本の経路より良いと判断してしまいます。ホップ数の上限 15 は、経路情報がぐるぐる回り続けるのを止めるための打ち切り線で、16 で「到達不能」を意味します。この「最大15ホップ」は出題されるので数字ごと覚えてください。
2つの違いは次のように整理できます。
| RIP(距離ベクトル型) | OSPF(リンク状態型) | |
|---|---|---|
| 誰と話すか | 隣接ルータとだけ | エリア内の全ルータ |
| 何を送るか | 自分の経路表(宛先と距離) | 自分のリンク情報 |
| 指標 | ホップ数のみ | コスト(帯域幅など) |
| 規模 | 小規模向き・収束が遅い | 大規模向き・収束が速い |
c は BGP です。ここで押さえたいのは AS(自律システム)の内か外かという切り分けで、AS 内で使うのが RIP・OSPF(IGP)、AS 間で使うのが BGP(EGP)です。選択肢に「自律システム間」と書いてあれば BGP だと判断できます。
d は ARP で、層が1つ下です。昨日の解説の最後に「宛先 IP アドレスは最後まで変わらず、宛先 MAC アドレスだけが一歩ごとに書き換わる」と書きました。その書き換えのたびに ARP が動いています。ルーティングプロトコルは経路表を作るためのもの、ARP は次の一歩の宛先 MAC を知るためのもので、役割が別です。
第2問 ネットワーク(タグ VLAN)
レイヤ2スイッチ2台の間を1本の物理リンクで接続し、そのリンクで複数の VLAN のフレームを中継したい。このときに用いる IEEE 802.1Q の仕組みの説明として、適切なものはどれか。
- イーサネットフレームに VLAN 識別子(VLAN ID)を含むタグを挿入して送出し、受信側がそのタグを見てどの VLAN のフレームかを判別する。
- ポートごとに 1 つの VLAN を固定的に割り当てるため、VLAN の数だけ物理リンクを用意する。
- IP アドレスのサブネット単位で VLAN を決め、中継するルータが VLAN ID を書き換える。
- 送信元 MAC アドレスから所属 VLAN を判定するので、フレームにタグを付ける必要がない。
解答
正解 a(フレームに VLAN ID のタグを挿入して送り、受信側がタグで判別する)
昨日の第2問の最後に「VLAN を使えばルータを物理的に足さなくても1台のスイッチの中を論理的に複数のブロードキャストドメインに分けられる」と書きました。今日はその続きで、分けた VLAN をスイッチをまたいで運ぶときの話です。
VLAN を 1 台のスイッチの中だけで使うなら、ポートごとに「このポートは VLAN 10」と決めるだけで足ります(ポート VLAN)。しかしスイッチが 2 台になると困ります。スイッチ間のリンクに流れてきたフレームが VLAN 10 のものか VLAN 20 のものか、受け取った側には区別がつかないからです。VLAN ごとに物理リンクを1本ずつ引けば区別はできますが、VLAN が増えるたびに配線が増えます。
そこで IEEE 802.1Q は、フレームの中に VLAN ID(12ビット、1〜4094)を含む4バイトのタグを挿入します。受け取った側はタグを見て VLAN を判別し、その VLAN のポートにだけフレームを流し、端末へ渡す直前にタグを外します。これで1本のリンクで全 VLAN を運べます。
用語も一緒に押さえてください。端末をつなぎタグを付けないポートをアクセスポート、スイッチ間でタグ付きフレームを流すポートをトランクポートといいます。出題では「トランクポート」という語だけ出て、タグ VLAN のことだと気づけるかを問われます。
b は、タグを使わない従来のやり方の説明です。区別はできますが、これを避けるために 802.1Q があるので、設問の答えにはなりません。c は前半(サブネット単位で VLAN を決める)はサブネットベース VLAN として存在しますが、後半が誤りです。ルータは VLAN ID を書き換えません。VLAN をまたぐ通信は第3層の中継であって、タグの付け替えで済む話ではありません。d は MAC ベース VLAN の説明ですが、それでもスイッチ間のリンクではタグが必要なので、結論が誤りです。
ここから午後 問5 の定番につながります。VLAN を分けた以上、VLAN 10 と VLAN 20 の端末は直接は通信できません(それが分けた目的です)。通信させたければ第3層の中継が必要で、これを VLAN 間ルーティングといいます。トランクポート1本でルータにつないでやる方式(ルータオンアスティック)か、L3 スイッチに任せる方式のどちらかです。「VLAN で分けた → 通信させたい → だから L3 が必要」という往復が午後の問題文の骨になります。
第3問 情報セキュリティ(OP25B)
ISP が実施する OP25B(Outbound Port 25 Blocking)の目的として、適切なものはどれか。
- 自 ISP の利用者の PC から、ISP 管理外のメールサーバの TCP ポート 25 番への直接の通信を遮断し、ボットなどによる迷惑メールの送信を防ぐ。
- 外部のネットワークから自 ISP のメールサーバの TCP ポート 25 番への接続を遮断し、外部からのメールの受信を停止する。
- 受信したメールの送信元 IP アドレスを DNS に問い合わせて照合し、送信ドメインのなりすましを検出する。
- メール本文と添付ファイルを暗号化し、経路上での盗聴を防ぐ。
解答
正解 a(自 ISP 内から外部のポート 25 番への直接通信を遮断する)
昨日の第3問で SPF / DKIM / DMARC をまとめました。あの3つはすべて受信側が見分ける仕組みです。今日は反対側、送信そのものを出させない仕組みです。同じ「迷惑メール対策」という言葉で選択肢に並ぶので、方向で切り分けられるようにしておきます。
OP25B の Outbound は「自分のネットワークから外へ出ていく方向」です。マルウェアに感染した PC が、ISP のメールサーバを通さずに宛先のメールサーバへ直接ポート 25 番でつなぎ、大量の迷惑メールを送る。この抜け道を ISP 側で塞ぐのが OP25B です。出ていく側を塞ぐのがポイントで、b のように入ってくる側を塞ぐとメールが受け取れなくなり、目的が逆になります。
ここで当然の疑問が出ます。正当な利用者が外部のメールサーバから送りたいときはどうするのか。答えは、ポート 25 番ではなくサブミッションポート 587 番を使い、そこで SMTP-AUTH(利用者 ID とパスワードによる送信者認証)を通すことです。587 番は遮断されないので、認証を通せる正当な利用者だけが送れます。この「OP25B で 25 番を塞ぐ → 587 番 + SMTP-AUTH で正当な送信を通す」はセットで出題されます。
関連して、SMTP-AUTH より前に使われていた POP before SMTP も語句として出ます。POP で受信認証した IP アドレスから一定時間だけ送信を許す方式で、同じ IP を共有する別の利用者にも送信が許されてしまうなどの弱点があり、現在は SMTP-AUTH が標準です。「古い方式・穴がある」と覚えておけば選択肢で迷いません。
c は SPF で、昨日の第3問の選択肢 a と同じものです。d は S/MIME や PGP で、こちらは秘匿が目的です。昨日と同じ切り分けがそのまま効きます。署名は「本物か」、暗号化は「隠す」、OP25B は「出させない」。目的が3つとも違います。
第4問 情報システム開発(ホワイトボックステストの網羅基準)
ホワイトボックステストの網羅基準のうち、判定条件網羅(分岐網羅)の説明として適切なものはどれか。
- プログラム中のすべての命令を少なくとも 1 回は実行するようにテストケースを設計する。
- すべての判定について、その結果が真になる場合と偽になる場合の両方を少なくとも 1 回は通るようにテストケースを設計する。
- 判定を構成する個々の条件式について、それぞれが真になる場合と偽になる場合の両方を少なくとも 1 回はとるようにテストケースを設計する。
- 仕様書から入力値を同値クラスに分け、各クラスの代表値と境界値を選んでテストケースを設計する。
解答
正解 b(各判定の真・偽の両方を通す)
今日から午後 問8(情報システム開発)に入ります。問11 と同じやり方で、まず語句の骨組みを揃えます。問8 はテスト・設計・レビューが中心で、実務の言葉でそのまま読める分野です。最初の1問はテストの網羅基準です。
まず大きな枠から。ホワイトボックステストは、プログラムの内部構造(分岐や繰返し)を見て、どこを通したかで十分さを測ります。ブラックボックステストは内部を見ず、仕様だけを見て入力と出力の対応を確かめます。d はそのブラックボックス側(同値分割・限界値分析)の説明なので、まずここが外れます。単体テストはホワイトボックス中心、結合・システムテストはブラックボックス中心、という対応も一緒に覚えてください。
そのうえで網羅基準を弱い順に並べます。
- 命令網羅(a)… すべての命令を 1 回通す。いちばん弱い。
ifにelseが無い場合、条件が真のケースだけで全命令を通せてしまう - 判定条件網羅(分岐網羅)(b)… すべての判定の真・偽を通す。命令網羅より必ず強い
- 条件網羅(c)… すべての個々の条件式の真・偽をとる
- 複数条件網羅 … 個々の条件式の真偽のすべての組合せを通す。いちばん強く、いちばんテストケースが多い
c が誤りである理由がこの問題の要点で、そのまま出題される論点です。条件網羅を満たしても判定条件網羅を満たすとは限りません。if (A かつ B) という判定で、テストケースを (A=真, B=偽) と (A=偽, B=真) の 2 つにすると、A も B も真と偽の両方をとっているので条件網羅は満たします。ところが判定の結果はどちらも偽で、真の枝を一度も通っていません。判定条件網羅は満たせていないわけです。「条件網羅のほうが細かそうだから強い」と考えると、この形の出題で落とします。
b が正解になるのは、設問が判定(分岐)そのものの真偽を問題にしているからです。判定単位で見るのが判定条件網羅、判定を構成する条件式単位で見るのが条件網羅。単位が判定か条件かで読み分けてください。
午後 問8 では「このテストケースで網羅できていないのはどの分岐か」「網羅率を上げるために追加すべきテストケースは何か」という形で問われます。そのとき答案に使う言葉が、ここで並べた4つです。