復習問題 2026-10-11
5問、今日も計算はありません。第1問は昨日の解説で一言だけ触れた「改ざん検知はハッシュ(MAC・署名)」の中身、第2問は S/MIME の「個人の証明書」から認証の3要素へ。第3問は昨日のバックアップの隣(どこまで戻れるか=RPO)、第4問は枠組み1枚シリーズ7枚目、第5問は著作権の隣で営業秘密です。
第1問 メッセージ認証符号とディジタル署名(情報セキュリティ)
メッセージ認証符号(MAC)とディジタル署名を比べたとき、ディジタル署名だけが実現できることはどれか。
- 通信途中でメッセージが書き換えられていないこと(完全性)の検知
- メッセージ本文そのものの秘匿(第三者に内容を読まれないこと)
- 送信者が「自分は送っていない」と後から否定できないこと(否認防止)
- 固定長の値を計算することによる、通信量の削減
解答
答え:c
どちらも「本文のハッシュ値を使って改ざんを検知する」仕組みなので、a は両方できる。違いはどの鍵を使うかの1点だけです。
| 使う鍵 | 完全性 | 否認防止 | |
|---|---|---|---|
| MAC | 共通鍵(送受信者で共有) | ○ | × |
| ディジタル署名 | 送信者の秘密鍵 | ○ | ○ |
MAC の鍵は相手も持っているので、その MAC は受信者側でも作れてしまいます。だから「送ったのは本人だ」と第三者に証明できません。一方ディジタル署名の秘密鍵は本人しか持っていないので、検証できた署名は本人が作ったものに限られる——これが否認防止です。
b は守る対象の勘違い。MAC も署名も本文を暗号化しません(秘匿は暗号化の仕事)。d はハッシュの性質の説明であって、2つを分ける違いではありません。
一言で:鍵を2人で共有していたら否認防止はできない。10/6 の「署名は秘密鍵で」からここまでが1本の線です。午後の問1でも「なぜ MAC では足りないのか」という形で問われます。
第2問 認証の3要素(情報セキュリティ)
利用者認証に用いる要素は「知識」「所持」「生体情報」の3つに分類される。多要素認証に該当しない組合せはどれか。
- パスワードと、スマートフォンアプリが表示するワンタイムパスワード
- パスワードと、秘密の質問(母親の旧姓)への回答
- IC カードと、指紋
- 暗証番号と、USB 接続のセキュリティキー
解答
答え:b
多要素認証とは、異なる種類の要素を組み合わせることです。パスワードも秘密の質問も、どちらも知識——頭の中にあるものなので、2つ並べても要素は1種類のまま(これは「二段階認証」ではあっても「二要素認証」ではない)。だから b だけが該当しません。
| 要素 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 知識(What you know) | 知っているもの | パスワード、暗証番号、秘密の質問 |
| 所持(What you have) | 持っているもの | IC カード、スマートフォン、セキュリティキー、個人の証明書 |
| 生体情報(What you are) | 本人の身体的特徴 | 指紋、虹彩、顔、声紋 |
a は知識+所持、c は所持+生体情報、d は知識+所持で、いずれも2要素です。
昨日の S/MIME がここにつながります。個人の証明書(秘密鍵)は所持にあたる認証要素です。「パスワードは知識、証明書は所持、指紋は生体」と置けば、クライアント証明書を使う認証がなぜ強いのかも同じ表で説明できます。
第3問 RPO と RTO(サービスマネジメント)
事業継続計画で用いる RPO(目標復旧時点)の説明として適切なものはどれか。
- 障害発生からシステムが復旧するまでに許容できる時間
- 障害発生時に、どの時点のデータまで戻ることを許容するか(失ってよいデータの時間幅)
- 一定期間に障害で停止してよい時間の上限を、稼働率として表したもの
- 障害の発生から検知までに要する平均時間
解答
答え:b
名前のとおり、RPO は「時点(Point)」、RTO は「時間(Time)」です。a が RTO の説明です。
| 指標 | 測るもの | 決めるもの |
|---|---|---|
| RPO(Recovery Point Objective) | どの時点まで戻るか | バックアップの間隔 |
| RTO(Recovery Time Objective) | 復旧までの時間 | 復旧手順・冗長構成への投資 |
昨日のバックアップがそのまま効きます。毎日1回バックアップを取るなら、最悪1日分のデータが失われる——つまり RPO = 24時間。RPO を短くしたければバックアップの間隔を詰める(レプリケーションなら RPO ≒ 0)。一方 RTO を短くしたいなら、戻す作業が速い方式を選ぶ——昨日の「増分は戻すのが大変、差分は戻すのが楽」が、ここで RTO の話になります。
c は稼働率(10/9)、d は MTTR の一部分の説明で、いずれも別の指標です。
一言で:RPO はバックアップの間隔、RTO は復旧作業の速さ。「P=点、T=時間」で取り違えません。
第4問 3C 分析とマーケティングの枠組み(ストラテジ)
3C 分析の説明として適切なものはどれか。
- 政治・経済・社会・技術の4つの観点から、自社を取り巻く外部環境の変化を分析する。
- 顧客・競合・自社の3つの観点から事業環境を分析し、自社が勝てる位置を見つける。
- 製品・価格・流通・販促の4つを組み合わせて、具体的な販売施策を設計する。
- 企業の活動を主活動と支援活動に分け、どこで付加価値が生まれているかを分析する。
解答
答え:b
3C は Customer(顧客・市場)/Competitor(競合)/Company(自社)。市場と競合を見てから自社を当てる、という順番が肝で、「自社だけを見て決めない」ための枠組みです。
a は PEST 分析、c はマーケティングの 4P、d はバリューチェーン(昨日)。枠組み1枚シリーズ、7枚目の見分け表です。
| 枠組み | 軸・構成 | 何を決めるためのものか |
|---|---|---|
| SWOT | 内部/外部 × 強み/弱み | 自社の置かれた状況 |
| PPM | 市場成長率 × 市場シェア | 事業の組合せ(資源配分) |
| BSC | 財務・顧客・プロセス・学習 | 業績評価指標 |
| アンゾフ | 製品 × 市場 | 成長の方向 |
| ファイブフォース | 5つの競争要因 | 業界の構造(外) |
| バリューチェーン | 主活動/支援活動 | 自社の工程(中) |
| 3C | 顧客・競合・自社 | 事業環境ぜんたい(外と中を1枚で) |
| (参考)PEST | 政治・経済・社会・技術 | マクロ環境の変化 |
| (参考)4P | 製品・価格・流通・販促 | 施策(分析ではなく実行) |
切り分けの一言:分析の枠組みは「どこを見るか」、4P だけは「何をするか」。選択肢に 4P が混ざったら、分析を問われているのかを先に確かめます。
第5問 営業秘密(法務)
不正競争防止法で保護される「営業秘密」に該当するための要件として、適切な組合せはどれか。
- 特許庁への出願がされていること、新規性があること、進歩性があること
- 秘密として管理されていること、事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること、公然と知られていないこと
- 就業規則に秘密保持義務が定められていること、従業員が誓約書に署名していること
- 文書化されていること、社外に開示していないこと、経済的価値が算定できること
解答
答え:b
営業秘密の3要件は 秘密管理性・有用性・非公知性 です。この3つをすべて満たして初めて法律の保護を受けられます。
- 秘密管理性:秘密として管理されている。アクセス制限、「社外秘」の表示、持出しの制限など、客観的に分かる形が必要。ここが実務で一番落ちます。
- 有用性:事業に役立つ技術上・営業上の情報(設計図、顧客リスト、製造ノウハウなど)。違法行為の記録などは含まれません。
- 非公知性:公然と知られていない。公開済みの情報は対象外。
a は特許の要件。ここが著作権(昨日)と並ぶ分かれ道です。特許は出願して公開して独占する、営業秘密は出願せず隠して守る——同じ技術でもどちらの戦略を取るかで保護の根拠法が変わります。
c は秘密管理性を示す手段のひとつにすぎず、要件そのものではありません(規則だけあって実際に管理していなければ認められない)。d の「経済的価値の算定」は要件ではありません。
| 守るもの | 根拠法 | 登録・出願 | 保護の形 |
|---|---|---|---|
| プログラム・文書の表現 | 著作権法 | 不要(創作で発生) | 作った側に自動で(10/10) |
| 技術的アイデア | 特許法 | 必要 | 公開の代わりに独占権 |
| ノウハウ・顧客リスト | 不正競争防止法 | 不要 | 管理していれば保護 |
試験では「秘密として管理」という言葉が入っているかを最優先で探します。入っていない選択肢はまず落とせます。