復習問題 2026-10-15
昨日の5問(RBAC・ゼロトラスト・NAS と SAN・4P と 4C・ウイルス作成罪)のすぐ隣を5問。今日も計算はありません。
昨日は「毎回検証する(ゼロトラスト)」で終わりました。その実装の柱として名前だけ出したログ監視が第1問、境界に並べる機器の役割分担が第2問です。これで午後の問1(必須)で問われる防ぐ・気づく・調べるの3つが揃います。
第1問 SIEM(情報セキュリティ)
SIEM(Security Information and Event Management)の機能として、適切なものはどれか。
- Web アプリケーションへの通信を解析し、攻撃と判断した通信を遮断する。
- 各種機器のログを一元的に収集・保管し、相関分析によって不審な事象を検知する。
- 端末にインストールし、既知のマルウェアのパターンと照合して駆除する。
- 利用者の認証情報を1か所で管理し、複数のシステムへの認証を代行する。
解答
答え:b
要点は「集める」+「突き合わせる」の2つです。サーバ・ファイアウォール・認証基盤など別々の機器のログを1か所に集め、それらを横断して相関分析することで、単体のログでは気づけない事象を見つけます。
相関分析とは何か——たとえば「認証サーバでの失敗が多数」だけなら単なる打ち間違いにも見えます。ですが同じ時刻に「普段と違う国からの接続」「深夜の大量ダウンロード」が並べば、1つの攻撃の流れとして浮かび上がります。1つずつでは異常に見えないものを、組み合わせて異常と判定するのが相関分析です。
| 目的 | 仕組み | 役割 |
|---|---|---|
| 防ぐ | ファイアウォール・WAF・IPS | 通信を止める(第2問) |
| 気づく | SIEM・IDS | ログと通信から検知して知らせる |
| 調べる | SIEM に集めたログ | いつ・どこから・何をされたかを追跡(デジタルフォレンジックス) |
a は WAF、c はウイルス対策ソフト、d は SSO(10/13)です。
午後の問1(必須)で書ける形:「攻撃に気づくのが遅れた」「被害範囲が特定できない」という記述には、「各機器のログを SIEM に集約し、相関分析によって検知する」+「ログの保管期間を定め、時刻を NTP で同期する」の2点で答えます。時刻同期は忘れやすいのに配点があります——機器ごとに時計がずれていると、集めたログを並べて追跡できないからです。
ゼロトラスト(昨日)が「毎回検証する」ためには、検証した記録が残っていることが前提になります。だから SIEM は実装の柱の1つに数えられます。
第2問 IDS・IPS・WAF の違い(情報セキュリティ)
WAF(Web Application Firewall)の説明として、適切なものはどれか。
- IP アドレスとポート番号を見て、通してよい通信かどうかを判定する。
- 通信を監視して不正を検知し、管理者に通知するが、通信自体は遮断しない。
- HTTP の内容を検査し、SQL インジェクションなど Web アプリ特有の攻撃を遮断する。
- 社内 LAN と外部の境界で、内部の端末のアドレスを変換して隠す。
解答
答え:c
4つの機器は「どの層を見るか」と「止めるか・知らせるだけか」の2軸で整理できます。この表を1つ覚えれば、4択のどれが来ても引けます。
| 機器 | 見るもの | 動作 | 防げる例 |
|---|---|---|---|
| ファイアウォール | IP アドレス・ポート番号 | 遮断 | 不要なポートへの接続 |
| IDS(侵入検知) | 通信パターン | 検知・通知のみ | 不審な通信の発見 |
| IPS(侵入防止) | 通信パターン | 検知して遮断 | 不正アクセス・DoS |
| WAF | HTTP の中身 | 遮断 | SQL インジェクション・XSS |
IDS と IPS の違いは1文字の P(Prevention=防止)だけです。Detection は見つけるまで、Prevention は止めるところまで。問題文に「検知して管理者に通知する」とあれば IDS、「検知して遮断する」とあれば IPS です。
WAF が必要な理由:SQL インジェクションや XSS は、正規の 80/443 番ポートに正しい形式の HTTP リクエストとして届きます。ファイアウォールから見れば「通してよい通信」なので止められません。中身(パラメータの文字列)を読む機器が別に必要——これが WAF です。
a はファイアウォール、b は IDS、d は NAT です。
午後の答案での優先順位:WAF は応急処置です。「アプリを直す時間がないのでまず WAF で防ぐ」という文脈で出ます。恒久対策を聞かれたら答えはプレースホルダ(バインド機構)を使う=SQL 文を組み立てる処理そのものを直す、です。この順序を取り違えると減点されます。
第3問 バックアップ方式(システム構成)
増分バックアップの説明として、適切なものはどれか。
- 毎回、対象のデータすべてを複製する。
- 直前のフルバックアップ以降に変更されたデータを、毎回すべて複製する。
- 直前のバックアップ(種類を問わない)以降に変更されたデータだけを複製する。
- 更新のたびに、同じ内容を2台のディスクへ同時に書き込む。
解答
答え:c
昨日の SAN が「DB やバックアップで使う」でした。今日はそのバックアップそのものです。差分と増分の違いは「どこからの変更を取るか」の1点だけです。
| 方式 | 取る範囲 | バックアップ時間 | 復旧の手間 |
|---|---|---|---|
| フル | 全データ | 最も長い | 1本で復旧・最も楽 |
| 差分 | 直前のフル以降の変更(毎回ふくらむ) | 中 | フル+最新の差分1本 |
| 増分 | 直前のバックアップ以降の変更(毎回少量) | 最も短い | フル+増分を全部順番に・最も手間 |
日曜にフル、月〜土は毎日取る例で考えます。水曜に壊れた場合——差分なら「日曜のフル+水曜の差分」の2本で戻せます。増分なら「日曜のフル+月・火・水の増分」の4本を順番に適用します。増分は取るのが速い代わりに、戻すのが遅く、1本でも壊れると復旧できません。
a はフルバックアップ、b は差分バックアップ、d はミラーリング(RAID1、10/13)です。
午後で問われる形:RPO・RTO(10/11)と必ずセットで出ます。バックアップの間隔が RPO(どこまで戻るか)を決め、復旧手順の本数が RTO(どれだけ早く戻せるか)を決めます。「RTO を短くしたい」なら増分より差分、あるいはフルの頻度を上げる、が答えの方向です。
第4問 PPM(ストラテジ)
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)において、「金のなる木」に分類される事業の特徴はどれか。
- 市場成長率が高く、市場占有率も高い。資金を投入して地位を維持する。
- 市場成長率が低く、市場占有率が高い。追加投資が少なく、資金の供給源となる。
- 市場成長率が高いが、市場占有率は低い。投資するか撤退するかの判断を要する。
- 市場成長率が低く、市場占有率も低い。撤退を検討する。
解答
答え:b
昨日の 4P が「1つの商品をどう売るか」でした。PPM は一段上から「複数の事業にどう資金を配るか」を決める枠組みです。縦軸に市場成長率、横軸に市場占有率(シェア)を取った4つのマスで考えます。
| 占有率 高 | 占有率 低 | |
|---|---|---|
| 成長率 高 | 花形 稼ぐが投資も要る(収支は差引きゼロに近い) | 問題児 投資して花形を狙うか、撤退か |
| 成長率 低 | 金のなる木 資金の供給源。追加投資が少ない | 負け犬 撤退を検討 |
PPM の肝は「金のなる木で稼いだ資金を、問題児に回す」という流れです。市場が成長しきっている(=成長率が低い)ので新たな設備投資や宣伝が要らず、シェアが高いので売上は安定する。だから手元に資金が残ります。
事業は問題児 → 花形 → 金のなる木 → 負け犬と時間とともに移っていくのが基本の筋です。だから「いま稼げている金のなる木だけに頼る会社は、次の花形を育てていない」という評価になります。
a は花形、c は問題児、d は負け犬です。成長率が低くて占有率が高い=金のなる木、この1行だけ確実にしておけば、他の3つは消去法で引けます。
第5問 プログラムの著作権(法務)
著作権法上の取扱いとして、適切なものはどれか。
- プログラムを作成した会社の従業員が、職務上作成した場合、著作権は原則としてその従業員個人に帰属する。
- プログラムの著作物として保護されるのは、そのプログラムに用いられたアルゴリズムやプログラム言語の仕様である。
- A 社が B 社に委託して開発させたプログラムの著作権は、契約に定めがなければ原則として B 社に帰属する。
- 自社で購入したソフトウェアは、バックアップ目的であっても複製することは一切認められない。
解答
答え:c
昨日の表に著作権法を1行足します。守るのは「表現」、守らないのは「アイデア」——これが出発点です。
| 場面 | 原則の権利者 | ひっかけ |
|---|---|---|
| 従業員が職務上作成(職務著作) | 会社 | 「個人に帰属」は誤り(a) |
| 他社へ委託して開発 | 受託側(作った会社) | 「お金を払った側」ではない(c が正解の理由) |
| 保護される対象 | プログラムという表現 | アルゴリズム・言語仕様・規約は対象外(b) |
| 利用者による複製 | バックアップ目的は可 | 「一切認められない」は誤り(d) |
c が最頻出です。委託して費用を払ったのは A 社なのに、著作権は作った B 社に残ります。だから実務では契約書に「著作権は委託者に譲渡する」と明記する——この一文が無いと、A 社は納品物を自由に改造・再利用できません。試験は「契約に定めがなければ」という条件文で、この原則を聞いてきます。
b の「アルゴリズムは保護されない」も頻出です。アイデアそのものは著作権では守れないので、守りたければ特許(技術的思想)や不正競争防止法の営業秘密(10/11)を使います。法律ごとに守る対象が違う、という昨日の切り分けがそのまま効きます。
残り3日の法務まとめ(動詞で引く):入る=不正アクセス禁止法/作る・持つ=ウイルス作成罪/壊す・止める=業務妨害罪/書き換えて儲ける=電子計算機使用詐欺罪/盗む(営業秘密)=不正競争防止法/個人データの扱い=個人情報保護法/まねる(表現)=著作権法。