復習問題 2026-08-23
昨日(セキュリティ 25問・正答率72%)のつまずきから出題します。問1が「公開鍵暗号は何が嬉しいのか」、問2がメール認証の役割分担、問3が VLAN です。
問1 情報セキュリティ
公開鍵暗号方式が共通鍵暗号方式に対して優れている点はどれか。
- 暗号化・復号の処理速度が速い
- 通信相手ごとに秘密の鍵を事前に安全な経路で配送する必要がない
- 鍵の長さが短くて済むため、記憶容量の消費が少ない
- 同じ鍵を送信側と受信側で共用するため、鍵の管理が簡単になる
解答
b
これが「暗号化鍵を公開して何が美味しいのか」の答えです。共通鍵暗号は同じ鍵を相手に安全に渡す必要があり、その受け渡し(鍵配送)自体が難所になります。公開鍵暗号なら暗号化用の鍵は公開してよいので、事前の受け渡しが要りません。
数でも効きます。n 人が互いに通信する場合、共通鍵は n(n−1)/2 個の鍵が必要ですが、公開鍵なら各自が1組(公開鍵+秘密鍵)を持つだけ、つまり 2n 個で済みます。100人なら 4,950 個 対 200 個。
a は逆で、処理速度は共通鍵暗号のほうが圧倒的に速い(だから実際の SSL/TLS は「鍵の受け渡しだけ公開鍵、本文は共通鍵」というハイブリッド方式を使う)。c も逆で、同等強度なら公開鍵のほうが鍵長は長い。d は共通鍵暗号の説明。
問2 情報セキュリティ
送信ドメイン認証技術に関する記述のうち、SPF の説明として適切なものはどれか。
- メールのヘッダと本文に電子署名を付与し、受信側が DNS で公開された公開鍵で検証する
- 送信元メールサーバの IP アドレスが、送信者のドメインの DNS に登録された許可リストに含まれるかを検証する
- 認証に失敗したメールの扱い(何もしない/隔離する/拒否する)をドメイン所有者が宣言し、結果をレポートさせる
- 利用者個人の証明書を用いて、メール本文の暗号化と署名を行う
解答
b
a が DKIM(昨日理解できた分)、c が DMARC、d が S/MIME です。4つの関係を1枚で整理すると:
| 技術 | 何を認証するか | どこを見るか |
|---|---|---|
| SPF | 送信元サーバの IP | 送信ドメインの DNS の TXT レコード |
| DKIM | メールの電子署名 | 送信ドメインの DNS の公開鍵 |
| DMARC | SPF / DKIM の結果を受けたポリシー | 送信ドメインの DNS の TXT レコード |
| S/MIME | 差出人個人(ドメインではない) | 認証局が発行した個人の証明書 |
前3つはドメインの認証で、DMARC は SPF と DKIM の上に乗る「判定後の運用ルール」。S/MIME だけは層が違って、個人単位の暗号化・署名です。
メールが届く流れ自体も押さえておくと迷いません。送信者 → 送信側メールサーバ(SMTP)→ 受信側メールサーバ(SMTP)→ 受信者が取り出す(POP3 / IMAP4)。SPF・DKIM は、受信側サーバが受け取った瞬間に「この送信元は本物か」を確かめる仕組みです。
問3 ネットワーク
レイヤ2スイッチにおける VLAN(IEEE 802.1Q)の説明として適切なものはどれか。
- 物理的な配線を変更することなく、ブロードキャストドメインを論理的に分割できる
- 異なる VLAN に属する端末どうしも、レイヤ2スイッチだけで相互に通信できる
- VLAN を分割すると、分割前より衝突(コリジョン)ドメインが大きくなる
- タグ VLAN では、フレームに VLAN ID を付けずにポート番号だけで所属を識別する
解答
a
VLAN の目的はブロードキャストドメインの分割です。同じスイッチに挿さっていても、VLAN が違えばブロードキャストは届かない。部署ごと・用途ごとにネットワークを分ける、を配線ではなく設定で行うのが VLAN です。
b は誤り。VLAN 間の通信にはレイヤ3の機器(ルータまたは L3 スイッチ)が必要です。ここが試験の頻出ポイントで、「VLAN 間ルーティング」と呼ばれます。逆にいえば、VLAN を分けると L3 機器を通さないと届かないので、そこでフィルタリングできる=セキュリティ上の分離になる、というのがセキュリティ分野で VLAN が出てくる理由です。
c は無関係(衝突ドメインはスイッチのポート単位で既に分かれている)。d はポート VLAN の説明で、タグ VLAN は逆にフレームへ 4バイトの VLAN タグを挿入して複数 VLAN を1本のトランクリンクに相乗りさせます。
問4 情報セキュリティ
公開鍵暗号方式に分類されるものはどれか。
- AES
- RSA
- SHA-256
- HMAC
解答
b
暗号技術は3つの箱に分けて覚えます。
| 分類 | 代表例 | 根拠となる難しさ/用途 |
|---|---|---|
| 共通鍵暗号 | AES、DES、3DES | 高速。本文の暗号化に使う |
| 公開鍵暗号 | RSA、楕円曲線暗号(ECC)、DSA、DH | RSA は素因数分解、ECC は楕円曲線上の離散対数の困難性 |
| ハッシュ/MAC | SHA-256、MD5、HMAC | 改ざん検知。鍵で復元することはできない(一方向) |
RSA は「巨大な2つの素数の積は作れるが、積から素数に戻すのは現実的な時間では無理」という非対称性を使います。昨日メモした ECC との比較でいうと、同等の強度で RSA 2048ビット ≒ ECC 224〜256ビット。鍵が短い分だけ計算量・通信量・消費電力が小さく、スマートカードや IoT 機器で好まれます。
問5 ネットワーク
NAPT(IP マスカレード)の機能はどれか。
- プライベート IP アドレス1個をグローバル IP アドレス1個に、1対1で静的に変換する
- プライベート IP アドレスとポート番号の組を、1個のグローバル IP アドレスと異なるポート番号の組に変換する
- ドメイン名を IP アドレスに変換する
- IP アドレスから MAC アドレスを解決する
解答
b
昨日メモした内容そのままです。a が本来の NAT(1対1変換)で、ポート番号まで併せて変換することで1個のグローバル IP を複数端末で共有できるようにしたのが NAPT = IP マスカレード。家庭のルータがやっているのはこちらです。
c は DNS、d は ARP。「変換するもの」を問う問題は選択肢に DNS と ARP が紛れ込むのが定番なので、何を何に変換するかの対でまとめて覚えます。