復習問題 2026-10-07
昨日の第1問(デジタル署名の鍵の向き)の続きを第2問に置きました。「鍵の向きは分かった、ではその公開鍵が本物だとなぜ言えるのか」が今日の問いです。第1問は記録上いちばん正答率が低いネットワーク(30 パーセント)から、残り3問は昨日に続いてマネジメント・ストラテジです。計算は今日も1問もありません。
第1問 ネットワーク(メールのプロトコル)
電子メールの送受信に使うプロトコルのうち、メールサーバ上にメールを残したまま複数の端末から同じメールボックスを参照するのに適したものはどれか。
- SMTP
- POP3
- IMAP4
- MIME
解答
解答: c(IMAP4)
メールは「送る」と「受け取る」で担当が完全に分かれています。まずそこで2つに割ります。
| 名前 | 読み | 担当 | ポート |
|---|---|---|---|
| SMTP | Simple Mail Transfer Protocol | 送信(PC → サーバ、サーバ → サーバ) | 25(submission は 587) |
| POP3 | Post Office Protocol | 受信。サーバからダウンロードして消す | 110 |
| IMAP4 | Internet Message Access Protocol | 受信。サーバに置いたまま読む | 143 |
| MIME | Multipurpose Internet Mail Extensions | プロトコルではない。本文の形式(日本語・添付・HTML メールを扱う仕組み) | — |
POP と IMAP の違いは「メールの本体がどこにあるか」の一点です。POP は郵便受けから家に持ち帰る方式なので、持ち帰った端末でしか読めません。IMAP は郵便受けを共有する方式で、本体はサーバに残ったまま。だからスマホで読んだ既読がパソコンにも反映されます。設問の「複数の端末から同じメールボックス」は IMAP の定義そのものです。
d の MIME だけ毛色が違います。これは運び方ではなく中身の書き方の規格で、選択肢に混ぜられたら真っ先に消せます。「日本語が送れるのは MIME のおかげ」と覚えておけば十分です。
この並びは 9/27 の OP25B(25番ポートを塞いで迷惑メールの直接送信を止める施策)と 9/26 の DKIM(送信元が本物かを署名で確かめる)につながります。OP25B が「25番= SMTP =送信」の話だと分かるのは、上の表の右端があってこそです。
第2問 情報セキュリティ(デジタル証明書と認証局)
公開鍵基盤(PKI)における認証局(CA)が発行するデジタル証明書の役割として、最も適切なものはどれか。
- 公開鍵の持ち主が確かに本人であることを、認証局の署名によって保証する
- 通信内容を暗号化し、第三者に読まれないようにする
- 利用者が入力したパスワードが正しいかどうかを照合する
- 送信されたファイルが改ざんされていないことを、ハッシュ値の比較だけで保証する
解答
解答: a
昨日の第1問の続きです。昨日は「署名は自分の秘密鍵で作り、相手の公開鍵で検証する」を確認しました。ここに穴が1つ残っています。検証に使うその公開鍵が、本当に A 社のものだと誰が言ってくれるのか。
攻撃者が「これが A 社の公開鍵です」と偽物を配ってしまえば、偽の署名がそのまま通ります。鍵の向きを正しく理解していても、この入口が破られると全部が無意味になります。そこを埋めるのが証明書です。
デジタル証明書=公開鍵に、信頼できる第三者(CA)が署名を付けたもの。中身は「この公開鍵の持ち主は A 社です」という申告と、それに対する CA 自身の署名です。つまり証明書とは、署名の仕組みを公開鍵の配布そのものに適用したもので、新しい技術は何も出てきません。昨日の2行がそのまま一段上で使われているだけです。
- b は暗号化そのものの説明で、証明書の役割ではありません。証明書は「鍵の身元保証書」であって、鍵でも暗号でもない
- c はパスワード認証。PKI は鍵を使う方式で、そもそもパスワードを扱いません
- d はハッシュ値だけと書いてあるのが誤りです。ハッシュだけでは改ざん検知はできても誰が送ったかが分からない(攻撃者が本文もハッシュも両方差し替えられる)。署名が要る理由はここにあります
連鎖で押さえておくと強いです。ハッシュ=改ざんされていないことだけ分かる → デジタル署名=誰が送ったかも分かる(昨日の問) → 証明書=その「誰か」の鍵が本物だと分かる(今日の問)。3段で1セットです。
この3段は計画で必須に置いた午後の問1(情報セキュリティ)に毎回出ます。HTTPS でブラウザが鍵マークを出すのも、サーバ証明書を CA の署名で検証しているからで、実務で見ている画面がそのままこの話です。
第3問 サービスマネジメント(変更管理)
情報システムの運用において、変更管理プロセスの目的として最も適切なものはどれか。
- 発生した障害を一刻も早く復旧させ、業務への影響を最小限にする
- 変更に伴うリスクを評価・承認したうえで実施し、サービスへの悪影響を防ぐ
- ハードウェアやソフトウェアの構成情報を最新かつ正確な状態に維持する
- 障害の根本原因を究明し、同じ障害が再発しないようにする
解答
解答: b
昨日の第3問でインシデント管理と問題管理を分けました。今日はその隣の2つを足して、4つを1枚にします。この4語は毎回この並びで出題されます。
| プロセス | 目的を一言で | キーワード |
|---|---|---|
| インシデント管理 | とにかく早く戻す | 復旧、暫定対応(ワークアラウンド) |
| 問題管理 | 二度と起こさない | 根本原因、恒久対策、再発防止 |
| 変更管理 | 安全に変える | 影響評価、承認、CAB(変更諮問委員会) |
| 構成管理 | 正確に知っている | 構成情報、CMDB、台帳 |
動詞で覚えるのがいちばん速いです。戻す・起こさない・変える・知っている。選択肢の文末がどの動詞に当たるかを見るだけで割れます。今回なら b だけが「変える」話で、しかも「評価・承認したうえで」という変更管理の核が書いてあります。
a がインシデント管理、d が問題管理で、どちらも昨日やった2つ。c が構成管理です。
変更管理で狙われるのは「承認を経る」の一点です。良さそうな変更でも勝手に入れてはいけない、影響を評価して承認を取ってから入れる——これが問われます。実務で本番リリースにレビューと承認を挟むのと同じ話で、試験はそれに名前を付けているだけです。
この分野は計画で保険に置いた午後の問10(サービスマネジメント)そのものです。午前のこの4語が、そのまま午後の答案で使う言葉になります。
第4問 経営戦略(バランススコアカード)
バランススコアカード(BSC)で用いる4つの視点の組合せとして、適切なものはどれか。
- 財務、顧客、業務プロセス、学習と成長
- 強み、弱み、機会、脅威
- 人材、設備、資金、情報
- 品質、コスト、納期、安全
解答
解答: a
BSC は、企業の業績を財務の数字だけで見るのをやめようという発想の道具です。売上や利益は「終わった結果」なので、それだけ見ていても次の手が打てない。そこで結果に至るまでの過程を3つ足して、4つの視点で測ります。
| 視点 | 問い | 指標の例 |
|---|---|---|
| 財務 | 株主からどう見えるか | 売上高、利益率、ROE |
| 顧客 | 顧客からどう見えるか | 顧客満足度、シェア、リピート率 |
| 業務プロセス | どの業務を優れたものにすべきか | リードタイム、不良率 |
| 学習と成長 | 改善し続けられるか | 研修時間、資格取得者数、離職率 |
順番には意味があります。下から上へ因果でつながっているのがこの道具の肝です。人が育つ(学習と成長)→ 業務が良くなる(業務プロセス)→ 顧客が満足する(顧客)→ 売上が上がる(財務)。この矢印の向きを聞く問題も出るので、4つを並べるときは必ず下から読んでください。
b は 10/5 第5問の SWOT 分析。c は「企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)」。d は QCD に安全を足したもので生産管理の用語です。4つ組の用語はどれも紛らわしいので、セットごと丸ごと覚えるのが結局いちばん確実です。
昨日の PPM、一昨日の SWOT と合わせて、ストラテジ系の「表1枚」シリーズはこれで3つ目です。この3つだけで午前の1〜2問はほぼ確実に取れます。
第5問 企業法務(請負契約と準委任契約)
ソフトウェア開発をベンダに委託する場合の契約形態に関する記述のうち、適切なものはどれか。
- 請負契約では、発注者がベンダの作業者に対して直接、作業の指揮命令を行う
- 請負契約では、ベンダは仕事の完成に対して責任を負い、成果物に不備があれば責任を問われる
- 準委任契約では、ベンダは必ず成果物を完成させる義務を負う
- 労働者派遣契約では、派遣先ではなく派遣元が派遣労働者に対して日々の指揮命令を行う
解答
解答: b
この分野は2つの軸さえ引けば全部解けます。「完成の義務があるか」と「誰が指揮命令するか」です。
| 契約 | 義務 | 指揮命令 |
|---|---|---|
| 請負 | 仕事の完成(契約不適合責任を負う) | ベンダ(受注側) |
| 準委任 | 善管注意義務(完成義務なし。誠実に作業する義務) | ベンダ(受注側) |
| 労働者派遣 | —(労働力の提供) | 派遣先(発注側) |
覚え方は「指揮命令が発注側に来るのは派遣だけ」です。これ1行で a と d が同時に切れます。a は請負なのに発注者が直接指示する形で、これは偽装請負と呼ばれる違法な状態。d は派遣の指揮命令を派遣元と書いていて、表と逆です。
c は準委任に完成義務があると書いていて誤り。準委任は「ちゃんとやります」であって「仕上げます」ではない。要件定義や運用支援のように、成果物の形が事前に決めきれない工程で使われます。
正解 b の「契約不適合責任」は、以前は瑕疵担保責任と呼ばれていたものです。古い過去問では瑕疵担保責任の名前で出ますので、同じものだと知っておいてください。
実務でこの区別を見たことがあるはずです。それが有利に働きます。表の右の列(指揮命令)だけ先に確認するのがこの手の問題の最短ルートです。