復習問題 2026-10-08
昨日の5問のすぐ隣を5問そろえました。第1問はメールのプロトコル(昨日)の続きで「そのメールの送信元が本物か」、第2問は証明書(昨日)の続きで「その証明書が今も有効か」。第3問から第5問も昨日の3問の隣です。計算は今日も1問もありません。
第1問 ネットワーク(送信ドメイン認証 SPF)
電子メールの送信元ドメインのなりすましを検知する仕組みのうち、SPF(Sender Policy Framework)の説明として適切なものはどれか。
- 送信側ドメインの DNS に、メール送信を許可するサーバの IP アドレスを公開しておき、受信側が送信元サーバの IP アドレスと照合する
- 送信側がメールにデジタル署名を付け、受信側が DNS で公開された公開鍵を使って署名を検証する
- メールを受信する前に POP3 で認証を済ませ、一定時間だけそのIPアドレスからの送信を許可する
- メール本文を公開鍵暗号で暗号化し、宛先の利用者以外が読めないようにする
解答
解答: a
昨日の第1問でメールの運び方(SMTP・POP3・IMAP4)を整理しました。今日はその穴を埋めます。SMTP には送信者を名乗る欄を自由に書けるという弱点があり、差出人の偽装がそのまま通ってしまいます。そこを後付けで塞いだのが送信ドメイン認証で、3語セットで出題されます。
| 名前 | 何で確かめるか | 一言で |
|---|---|---|
| SPF | IP アドレス(DNS の TXT レコードに許可サーバを列挙) | この住所から出したメールか |
| DKIM | デジタル署名(公開鍵は DNS で配布) | 中身がすり替わっていないか |
| DMARC | SPF と DKIM の結果を受けてどう扱うかの方針 | 失敗したら捨てるか隔離するか |
区別は「IP で見るのが SPF、署名で見るのが DKIM」の1行で足ります。選択肢 b はその DKIM の説明で、9/26 の第3問でやりました。
c は POP before SMTP という古い方式で、今は SMTP-AUTH に置き換わっています。「認証」と書いてあっても送信ドメイン認証とは別物で、こちらは送信者が自分のサーバを使う権利の確認です。d は S/MIME(本文の暗号化)で、なりすまし検知の話ではありません。
SPF・DKIM・DMARC のどれもDNS に情報を置くのが共通点です。ここが 9/27 の OP25B(25番ポートを塞ぐ)と並んで迷惑メール対策の定番セットになります。
第2問 情報セキュリティ(証明書失効リスト CRL)
公開鍵基盤(PKI)における CRL(証明書失効リスト)に登録される情報として、適切なものはどれか。
- 認証局が発行したすべての有効な証明書の公開鍵
- 有効期限内であるにもかかわらず失効させられた証明書のシリアル番号
- 有効期限が切れたことによって自動的に無効となった証明書のシリアル番号
- 証明書の発行を申請した利用者の識別情報とパスワード
解答
解答: b
昨日の第2問でハッシュ → デジタル署名 → 証明書の3段がつながりました。今日はその先に残る問いです。証明書は有効期限が来る前に「取り消したい」ことがある。秘密鍵が漏れた、担当者が退職した、サーバを廃止した——こういうときに、期限を待たずに無効にする必要があります。
そこで認証局が「この証明書はもう無効です」という一覧を公開します。これが CRL で、載るのは証明書のシリアル番号と失効日時です。証明書そのものや公開鍵は載りません。番号だけで足りるからです。
いちばん狙われるのが c との区別です。期限切れは CRL に載りません。期限は証明書自身に書いてあり、受信側は日付を見るだけで判断できるので、わざわざ一覧に載せる意味がない。CRL は「期限内なのに無効」という、証明書を見ただけでは分からない情報だけを運びます。ここが分かれ目です。
- a は逆です。CRL は失効した側の名簿で、有効な証明書の一覧ではありません
- d は発行申請(CSR)の話。そもそも認証局がパスワードを保管することはありません
もう1語セットで押さえます。CRL は一覧をまとめてダウンロードする方式なので、更新までの時間差とサイズが膨らむという弱点があります。それを解決したのが OCSP(Online Certificate Status Protocol)で、1枚の証明書について「今有効か」をその場で問い合わせる方式です。
| 方式 | やり方 | 弱点/長所 |
|---|---|---|
| CRL | 失効した証明書の一覧を配る | 更新間隔のあいだ古い情報になる |
| OCSP | 1件ずつその場で問い合わせる | リアルタイム。認証局側に負荷 |
「名簿を配るのが CRL、電話で聞くのが OCSP」で区別してください。ブラウザが HTTPS でやっているのはこの確認です。計画で必須に置いた午後の問1(情報セキュリティ)で、証明書が出る回には失効確認までセットで問われます。
第3問 サービスマネジメント(SLA の指標)
SLA(Service Level Agreement)に定める項目として、最も適切なものはどれか。
- システムの開発言語を Java とし、フレームワークを指定する
- 障害が発生した場合は、担当者が速やかに復旧作業を行う
- 月間のサービス稼働率を 99.5 パーセント以上とし、下回った場合の利用料の減額を定める
- サーバの CPU を増設し、メモリを 64G バイトに拡張する
解答
解答: c
昨日の第3問で運用の4プロセス(インシデント・問題・変更・構成)を1枚にしました。今日はその土台です。これら全部が「どの水準を守るのか」を決めていないと動かないので、先に合意するのが SLA です。
SLA はサービス提供者と利用者が、提供するサービスの内容と品質水準を合意した文書。試験で問われるのはほぼ1点に絞られます。「測って良し悪しが判定できる形になっているか」です。
この観点で選択肢を見ると一瞬で割れます。
- a・d は手段の指定です。開発言語やサーバの構成は作り方の話で、利用者から見たサービスの品質ではありません。SLA は中身の作り方に踏み込まない、が原則です
- b は「速やかに」が致命的です。これでは守れたかどうか誰も判定できません。SLA にするなら「障害受付から2時間以内に復旧する」のように数値にします。選択肢に「速やかに」「適切に」「十分に」とあったら、SLA の答えにはならないと覚えて構いません
- c だけが数値目標+未達時の扱いになっています。この2点セットが SLA の形です
関連語を1つだけ。SLA を決めて終わりにせず、測定 → 報告 → 改善を回し続ける活動を SLM(サービスレベル管理)と呼びます。「約束が SLA、約束を回す活動が SLM」。A と M の1文字違いで両方出るので、ここだけ区別できれば十分です。
稼働率は計算問題にもなりますが、今日は数字を追う必要はありません。「99.5 パーセントは月に約3.6時間の停止まで」という感覚だけ持っておけば足ります。
この分野は計画で保険に置いた午後の問10(サービスマネジメント)です。午後の答案ではSLA に書いてあるかどうかを根拠に書く設問が頻出します。
第4問 経営戦略(アンゾフの成長マトリクス)
アンゾフの成長マトリクスにおいて、既存の製品を新しい市場に投入することで成長を図る戦略はどれか。
- 市場浸透
- 新市場開拓
- 新製品開発
- 多角化
解答
解答: b(新市場開拓)
昨日の BSC、10/6 の PPM、10/5 の SWOT に続く「表1枚」シリーズの4つ目です。アンゾフは2軸×2値の4象限で、この形がいちばん単純です。
| 既存製品 | 新製品 | |
|---|---|---|
| 既存市場 | 市場浸透 | 新製品開発 |
| 新市場 | 新市場開拓 | 多角化 |
設問は「製品=既存、市場=新」なので、表の左下。軸が「製品」と「市場」の2つだけだと分かっていれば、設問の文を2語に分解して表を引くだけで、暗記した名前を思い出す必要さえありません。
- 市場浸透(既存×既存)— 今の商品を今の客にもっと売る。値下げ、販促、リピート促進
- 新市場開拓(既存×新)— 今の商品を別の客層や別の地域へ。海外進出はここ
- 新製品開発(既存市場×新製品)— 今の客に新しい商品を。既存顧客向けの新サービス
- 多角化(新×新)— 両方新しい。4つのうちリスクが最も高い
出題のされ方は2通りだけです。具体例からどの象限かを選ばせるか、どれがいちばんリスクが高いかを聞くか。後者の答えは常に多角化です。両方が新しいのだから当然で、覚える必要はありません。
紛らわしいのは PPM(10/6 第4問)との混同です。軸が違います。PPM は「市場成長率×市場シェア」で今ある事業をどう扱うかの判断、アンゾフは「製品×市場」でこれからどこへ伸ばすかの判断です。PPM は仕分け、アンゾフは行き先と押さえれば混ざりません。
第5問 企業法務(偽装請負)
ソフトウェア開発を請負契約で委託しているにもかかわらず、発注者がベンダの作業者に対して直接、作業時間や作業手順の指示を日常的に行っている状態を指す語はどれか。
- 二重派遣
- 偽装請負
- 下請代金の減額
- ワークシェアリング
解答
解答: b(偽装請負)
昨日の第5問で表を引きました。指揮命令が発注側に来るのは派遣だけ。今日はその表を違反の側から聞いています。
請負契約なのに発注者が直接指示を出すと、契約の形は請負、実態は派遣というずれが生じます。これが偽装請負で、労働者派遣法に違反する状態です。なぜ問題かというと、派遣なら派遣元に課される労働時間や安全衛生の管理責任が、誰のものでもなくなってしまうからです。作業者が守られない。禁止の理由はここにあります。
判定は「誰が日々の作業指示を出しているか」の一点です。契約書の表題ではなく実態で見ます。
- a 二重派遣 — 派遣された労働者をさらに別の会社へ派遣すること。これも違法ですが、派遣を重ねる話なので設問とは別です
- c 下請代金の減額 — 下請法で禁じられる行為の1つ。お金の話で、指揮命令の話ではありません
- d ワークシェアリング — 仕事を分け合って雇用を維持する施策。違法行為ではなく、そもそも分野が違います
昨日の表に1行足して完成です。
| 状態 | 契約 | 実際の指揮命令 | 適否 |
|---|---|---|---|
| 正しい請負 | 請負 | ベンダ | 適法 |
| 正しい派遣 | 労働者派遣 | 派遣先 | 適法 |
| 偽装請負 | 請負 | 発注者 | 違法 |
この区別は実務でそのまま見ているはずで、委託先のメンバーに直接タスクを振るかどうかで線を引いている現場の話です。知識としてではなく経験として答えられる問題なので、ここは確実に取ってください。